join.call / mulllr
[Rec’d-06]
微細な音の反復からは、例えば交差点や線路や雑踏を定点観測して高速で再生した映像を見ているような、変わらないようで、ゆっくりと色や影や形の変わっていく景色の美しさを頭に思い浮かべさせられる。普段の自分とは違う時間軸、まるで神の視点から世界を見ている様な自分に気付く。 決してゆったりとした音が連なっているわけではない、どちらかといえばこれは神経症的に、細かく裁断された音の粒が執拗に形を変えながら、耳を荒っぽく洗い撫でていく音楽だ。普段聴いている、ポップやロックやそんな風な言葉で形容される音楽とはかけ離れた位置に存在し、前作のようにはっきりビート(のようなもの)として認識できる音はなく、47分間、ひたすら音の波が押し寄せてその水位を高めている。 音楽を2種類で分けるとしたら、ひとつは意識の上で聴く音楽、そしてもうひとつは意識の下で存在する音楽だ。 今回のjoin.callに収録されている2曲目「piano.join.call (」はkikigatariのレビューにもあるように47:49と長編のもので、非常にゆったりとした流れの中で構成されている。音楽というよりかは、音の波、に近いのかもしれない。 日々の無音の中のアクセントとして、意識下の音楽という楽しみ方を感じて欲しい。
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